【顧客事例】海上工事の安全性と生産性を飛躍的に向上 – 東亜建設工業の統合デジタルツインシステム | LANDLOG
顧客事例 / 土木・港湾工事
海上工事の安全性と生産性を飛躍的に向上
LANDLOGを活用した統合デジタルツインシステムの実現
東亜建設工業株式会社は、LANDLOGをプラットフォームとして活用し、海上工事に特化した統合デジタルツインシステムを構築しました。船舶位置、カメラ映像、施工管理情報、気象データなどをリアルタイムに可視化・統合管理することで、複雑な海上工事の安全性向上と効率的な施工管理を実現。従来の人的監視に依存していた管理体制から、データドリブンな次世代の施工管理へと大きく進化しました。
東亜建設工業株式会社について
事業内容:総合建設業(海上土木工事を中心とした港湾・空港・埋立工事、陸上土木工事、建築工事など)
設立:1908年
本社所在地:東京都新宿区
事業領域:港湾、空港、道路、鉄道、上下水道、エネルギー施設、建築など幅広いインフラ整備を手掛ける総合建設会社
背景と課題:海上工事における複雑な情報管理と安全確保
海上工事は、陸上工事と比較して管理すべき情報が多岐にわたり、その複雑性が課題となっていました。作業船、土運船、起重機船など複数の船舶が同時に稼働し、さらに一般船舶の航行監視、気象・海象の変化への対応、潜水士や作業員の安全管理など、リアルタイムで把握・判断しなければならない情報が膨大に存在します。
従来の課題
- 人的監視への依存:現場担当者が各船舶に乗り、電話や無線連絡で情報を収集・伝達
- 情報の分散:複数のICTシステムを個別に使用し、情報が一元管理されていない
- リアルタイム性の欠如:施工状況や船舶位置などの情報把握にタイムラグが発生
- 安全管理の難しさ:警戒区域への船舶接近や衝突リスクの予測が困難
- 施工指示の非効率性:3次元モデル上での直感的な配置計画や施工指示ができない
こうした課題を解決するため、東亜建設工業はLANDLOGをプラットフォームとして採用し、自社の施工管理システムとAPI連携することで、海上工事に特化した統合デジタルツインシステムの構築に取り組みました。
ソリューション:LANDLOGと自社システムのAPI連携による統合プラットフォーム
システムアーキテクチャ
本システムは、LANDLOGの建設IoTプラットフォームを基盤として、東亜建設工業が保有する以下の施工管理システムとAPI連携することで実現しました:
現場に配置された各種センサーと管理システム:GNSS端末(交通船・作業員用)、施工管理PC、データ連携PC、カメラ・AIS受信アンテナ
連携システム構成
- LANDLOGプラットフォーム:3Dデータ統合管理、デジタルツイン表示、API連携基盤
- 航行監視システム:船舶位置情報(GNSS・AIS)のリアルタイム取得・配信
- 見える化システム:現場カメラ映像の統合管理・配信
- 土量管理システム:運搬土量の計測・検収データ管理
- 気象情報システム:温度、風速、雨量、湿度、気圧などの環境データ
- 施工管理PC:アンカー位置、作業員位置、潜水士情報などの現場データ
システムアーキテクチャ全体図:海上現場からクラウドサーバー、デジタルツインプラットフォームまでのデータフロー
デジタルツインプラットフォーム上での統合管理:カメラ映像、作業員位置情報、打設杭情報、交通船位置情報、一般船舶情報(AIS)、施工管理情報などを一元表示
主要機能
1. 施工シミュレーション・進捗管理
- 仮想空間での工事状況再現:施工前後の構造物、地形、進捗状況を3Dモデル上に表示
- 4D工程シミュレーション:時間軸を加えた施工プロセスの可視化
- 配置計画:作業船やケーソン、鋼管杭などの最適配置を3Dモデル上で検討
- 施工指示:3次元モデル上での直感的な作業指示が可能
3Dモデル表示機能:平面距離、深度、面積、3Dモデルの断面表示など、簡単な計測が可能
2. リアルタイム位置情報管理
- 作業船位置表示:グラブ船、起重機船、土運船、潜水士船、警戒船などの位置をリアルタイム表示
- 一般船舶監視:AIS受信機による周辺航行船舶の位置把握
- 構造物位置表示:ケーソン、鋼管杭、ジャケット等の施工位置を可視化
- アンカー管理:アンカー位置、ワイヤー展張範囲、警戒エリアを3D表示
- 作業員・潜水士位置:GNSS端末による作業員の位置情報管理
- 深度情報:Z座標(深度)を含む3次元位置情報の管理
システム画面例:作業船「黄鶴」モデル、杭モデル、見える化システムカメラモデル、作業員モデルなどを3D空間上に統合表示
3. 安全管理機能
- 警戒区域設定:工事エリアの警戒区域を3Dモデル上に設定・表示
- 接近・衝突予測:船舶の航跡データから接近・衝突リスクを予測し、アラート表示
- リアルタイム映像監視:現場カメラ映像を3Dモデル上の対応位置に表示
- 気象・海象情報:現場の気象条件をリアルタイム表示し、作業可否判断を支援
4. 施工データ管理
- 土量検収管理:日単位・月単位での運搬土量データの集計・表示
- 深浅測量結果:施工前後の深浅図データの比較表示
- 施工帳票管理:潜水日報、安全書類などの帳票データの一元管理
- BIM/CIMデータ連携:3D現場モデル、2D設計図面、測量点群データなどの統合表示
システムの主要機能:リアルタイム施工情報、設計情報、工事シミュレーション情報の統合管理と、4Dシミュレーション、施工情報表示、接近・衝突予測警報表示、測量データ表示などの各種機能
導入効果:安全性と生産性の飛躍的向上
🛡️ 安全管理の高度化
警戒区域への船舶接近をリアルタイムに検知し、衝突リスクを事前に予測。作業員や潜水士の位置も常時把握することで、海上工事特有の安全リスクを大幅に低減しました。
⚡ 施工管理の効率化
複数の情報システムが統合され、散在していた施工情報を一元的に把握可能に。現場担当者の負担が軽減され、迅速かつ的確な意思決定が可能になりました。
📊 データドリブンな管理
人的監視に依存していた管理体制から、リアルタイムデータに基づく客観的な状況把握へと進化。経験と勘に頼らない、データドリブンな施工管理を実現しました。
🎯 施工精度の向上
3次元モデル上での配置計画と施工指示により、複雑な海上工事でも高精度な施工が可能に。構造物の設置位置や作業船の配置を視覚的に確認しながら作業を進められます。
🤝 情報共有の円滑化
現場と事務所、協力会社間での情報共有がリアルタイムで可能に。遠隔地からでも現場状況を正確に把握でき、タイムリーな指示や調整が実現しました。
📈 生産性の向上
施工シミュレーションによる事前検討や、リアルタイム情報に基づく最適な作業判断により、手戻りや待機時間を削減。全体的な工程の最適化を実現しました。
技術的特徴:柔軟なAPI連携と拡張性
API連携アーキテクチャ
本システムの最大の特徴は、LANDLOGのオープンなAPI基盤を活用した柔軟なシステム連携です。東亜建設工業が長年蓄積してきた施工管理システムのデータを、LANDLOGプラットフォーム上で統合的に可視化することで、既存資産を活かしながら次世代のデジタルツインシステムを実現しました。
API連携の主な仕様
- サーバー間API連携:クラウド基盤上でのセキュアなデータ連携
- リアルタイムデータ配信:船舶位置、カメラ映像などの低遅延配信
- 座標系対応:緯度経度による位置指定、Z座標(深度)情報の統合管理
- マルチデータソース:複数の異なるシステムからのデータを統合表示
- カスタム表示:船舶種別に応じた3Dモデル表示、色・線種の指定
拡張性と将来展望
本システムは、今後さらなる機能拡張を予定しています:
- AI活用:画像認識による作業進捗の自動判定、異常検知機能の強化
- 自動化支援:自動航行船舶やICT建機との連携による施工自動化
- 予測分析:気象データや過去実績に基づく施工可否の予測精度向上
今後の展開:海上工事DXのスタンダードへ
本システムは海上工事統合デジタルツインとしてNETIS(新技術情報提供システム)に登録されており、海上工事におけるデジタルツイン活用のスタンダードとして、業界全体への普及と、さらなる安全性・生産性の向上に貢献しています。
また、蓄積されたデータを活用した予測分析や、AI・自動化技術との連携により、次世代の海上工事管理プラットフォームへの進化を続けています。
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