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第5回 ランドログパートナーインタビュー(日野自動車株式会社)

【ランドログパートナーインタビュー Vol.5】 日野自動車株式会社様

【ランドログパートナーインタビュー Vol.5】
日野自動車株式会社 様

ランドログとともに、建設業界が抱える課題解決に挑む企業を紹介するランドログパートナーインタビュー。第5回は日野自動車株式会社様のオフィスにお伺いしました。

ランドログパートナー制度に加入していただいている、商業CASE推進部の皆様は、「新たなビジネス領域へのチャレンジ」を掲げ、大きな業界変革のキーワードである「CASE」の技術を用い、お客様の現場に密着し、ソフトとハードの両輪で課題を解決することを目指されています。

<お話を伺った方>

藤井 部長日野自動車株式会社 商品CASE推進部

山本 セクションリーダー日野自動車株式会社 ソリューション開発グループ

吉田 様日野自動車株式会社 ソリューション開発グループ

取材日:2021年11月17日

取材場所:日野自動車株式会社 新宿オフィス

(本記事は、ランドログパートナーインタビューの第五回です。)

商業CASE推進部の活動とランドログへの期待

ランドログ:はじめに、商業CASE推進部様の活動についてご紹介いただけますか?

日野自動車様(藤井部長):まず、私たち自動車業界は大きな変革の時期にあります。私たち日野自動車は、「チャレンジ2025」という経営戦略を立て、「人、そして物の移動を支え、豊かで住みよい世界と未来に貢献する」ことを目指して活動をしています。

そのためには、様々な課題を解決しなくてはならないのですが、私たちは大きく3つの方向性を定義して取り組みを進めています。

1つ目は、安全・環境技術を追求した“最適な商品を作る”ことです。当社の提供する乗り物は交通事故を起こすと重大事故になりやすいですし、また、環境に関してもカーボンニュートラルを目指すなど温室効果ガスの排出量削減に貢献しなくてはならないと考えています。

2つ目は、“最高にカスタマイズされたトータルサポート”です。当社の製品を購入してくださったお客様に対して、購入後にもお客様ごとに最高のサポートを提供することを進めています。例えば、故障時のお客様の事業のダウンタイムを限りなく0に近づけるなど、当社製品の購入後のサポートをしっかり提供していくことで、お客様の事業発展に貢献することにつながります。

3つ目は、“新しい領域へのチャレンジ”です。ここが私たちの部門のミッションです。私たちの業界はとても大きな変革期を迎えており、そのキーワードとして「CASE」があります。

【CASEとは】Connected(コネクティッド)、Autonomous/Automated(自動化)、Shared (シェアリング)、Electric (電動化)の頭文字をとった造語。

日野自動車様(藤井部長):商業CASE推進部は、ソフトとハードをつなげていくことで人流や物流の課題解決を実現するという考え方で活動している部門です。

ランドログ:ソフトとハードをつなげる点について、具体的に教えてください。

日野自動車様(藤井部長):現場で私たちのハード(車両)を使われているお客様の困りごとを、ソリューションで解決することが、ソフトとハードをつなげるという意味です。

弊社は今まで、車両の走る、止まる、曲がるの部分や耐久性などにおいてお客様に価値を提供することを目指して参りました。しかし、これからの商用車の領域では、それだけでは足りないと考えています。

そこで、私たちは、お客様の現場に入らせていただき、車両の走る、止まる、曲がるに加えて、車両の周辺における、お客様の困りごとや課題を見つけて解決することに取り組んでいます。例えばバスでは、ドライバーは乗客が安全に乗車されているかを常に気にされていらっしゃいますが、運転をしながらそれを確認するのは大変だそうです。私たちはそのような現場目線の困り事を発掘し、ソリューションを通じてお客様に貢献することがミッションとなっています。

実際に、お客様の現場に密着し、ソフトとハードの両輪でお客様の課題を解決することを目指しています。

私たちの本業である「車を作る」という点では、部品メーカー様などのパートナーシップで協業できています。しかし、「ソリューションを創る、提供する」という観点では、今までとは違った、様々な業界の方との仲間づくりが必要と考えております。当社としてソリューションの分野は、初めてであり、チャレンジングな取り組みです。そのため、様々な業界のパートナーのお力をお借りしたいと考えております。

日野自動車様(山本セクションリーダー):私たちのお客様の課題を解決するために要求されるソリューションの1つとして「位置情報の活用」があります。位置情報等のデータについては、個社で閉じるのではなく、オープンにデータ連携していくことが大切だと感じています。

「車両のデータは原則オープンにする方針としており、社外の様々なパートナーの方と共にビジネスを展開していくこと」が重要だと考えています。今の当社では、提供できるデータや対応できることが非常に限られています。しかし、世の中のデータプラットフォームのあるべき姿はオープンであると考えており、この点はランドログさんが実際に提供しているオープンプラットフォームの考え方に賛同しています。データプロバイダの立場としてどのようにオープンにデータを提供していくかが課題と認識しています。

ランドログさんが建機データだけでは現場は動かない(様々なデータを持ったプレイヤーが現場には存在している)と説明されていた点は、当社のお客様の現場でも同様の声をいただいております。現場の課題を解決するためには、データをいかにオープンに活用してゆくかが重要です。また、我々のお客様の現場は、建設業の現場と同じで、お客様は当社(日野自動車)の商用車だけを使っているわけではありません。つまり、当社の車両だけのデータを活用しても、全体最適には繋がりにくいのが実態です。

オープンプラットフォームを目指すランドログさんのビジョンに共感したというのが(ランドログパートナーに加入した)一番の理由ですが、その中で、我々が共感できるコンセプトを展開されているランドログさんと、そのコンセプトに共感されているパートナー企業様のコンソーシアムに加入することで、当社が想定するオープンなシステムやビジネスの在り方に対して、多くの知見が得られると考えました。先行して、ランドログさんが、当社と同様な課題に向き合われているのではないかと想像していました。そして、当社が少しでも貢献できる部分を模索したいと思っております。

【ランドログパートナーインタビュー Vol.5】 日野自動車株式会社様
データ連携の実際と「HINO CONNECT」

ランドログ:「プラットフォーム連携」が現時点の解決策、ということですね。私たちランドログも2017年10月の設立から4年間オープンプラットフォームを運用してきましたが、現場の様々なデータが主体的にランドログに集まっているかと聞かれると、「現実はそうではない」ということをお伝えしています。

建設業のありたい理想やプラットフォームのありたい概念は変えていませんが、「ランドログには潤沢に様々なデータがある」というイメージを持たれているのは、現実とは異なっています。しかし、私たちがここまで活動を続けることができたのは、実はオープンプラットフォームという存在が、「プラットフォーム連携」というニーズに合致しつつあるという点だと思っています。

実際、パートナーの皆様にご紹介させていただいている事例や案件は、ほとんどの場合がプラットフォーム連携です。AというASPサービスと、BというASPサービス、それぞれが素晴らしく、単体で提案できる商材なのですが、その2つのサービスを組み合わせて現場の価値をあげることは、現場ユーザの操作性を考えると意外と難しいのです。結果、データプラットフォームの連携で、データをランドログに引き渡し、データを可視化するためのビューワーをランドログ上で開発して提供するモデルが受け入れられつつあります。

一番欲しいと思われるデータは何かという議論はありませんか?

日野自動車様(吉田様):それぞれの業界ごと・お客様ごとに必要なデータは何か、また同じデータであっても業界ごと・お客様ごとにその意味付けは異なります

ソリューションを作り込むにあたり、お客様に学び、どうやってお客様のニーズに合わせてご提供していくか、現時点では課題が多数ありますが、こういった取り組みが大切と思います。

例えば、最短ルートかつアイドリングを最少にすることが課題解決なのかというと、決してそうではないのが実情です。最短でないルートを取らなければならない業務上の制約があるかもしれませんし、冷凍車などの働く車では、運搬中は常にアイドリングさせておかなければなりません。つまり、同じCO2排出削減においても、お客様ごとに評価基準が異なってきます

ランドログ:他社との連携はどのように図っていらっしゃいますか?

日野自動車様(藤井部長):他社とのデータ連携はとても重要なことだと考えています。昨年より、株式会社Hacobu様を皮切りに、当社車両の車載GPSから取得できる位置情報データの連携をスタートしています。

仮に位置情報を取得したいなら、後付けのGPS端末を使って位置情報データを取得することができます。これは当社の車両も他社様の車両にも設置することはできます。しかし、1台の車両に複数のシステムが搭載されるようになり、その結果、複数のGPS端末が車両の中にある、という状況も耳にします。それはお客様にとって最適なのでしょうか? あるお客様のお話を聞くと、クルマの中に5種類のGPS端末が装備されており、それぞれ違う目的で設置されているそうです。

まさに、位置情報を提供している側の連携が重要だと思います。私どもの車両(※)でも位置情報等を取得しており、それを使用して「HINO CONNECT」というサービスを提供しています。そのデータを外部のASPサービスに提供すれば、前述の5つの端末を少しでも減らすことができるかもしれません。

※2017年5月以降に発売した日野プロフィア、日野レンジャーおよび2019年5月以降に発売した日野デュトロ、2021年10月に発売した日野メルファ

HINO CONNECTの概要はこちら
HINO CONNECT 動画はこちら

【ランドログパートナーインタビュー Vol.5】 日野自動車株式会社様
ソリューション開発の現場と今後の展望

ランドログ:ソリューション開発の推進という点でのエピソードはございますか?

日野自動車様(藤井部長):やはり「お客様の現場に入り込む」という点ですね。お客様の課題や問題点を伺うというだけではなく、TPS(トヨタ生産方式)の考え方に基づき現場業務の実態を数値化し、ソリューションにより改善できる点がないかを考えています

お客様との会話の中で、労働力不足のお話を伺うことがありますが、これは建設業界とも共通の課題ではないかと考えています。新しい方が入ってきても、大変な仕事ですぐに辞めてしまうこともある。これを様々なソリューションで少しでもハードルを下げる。この点についての取り組みは、ランドログの出資社であるコマツ様と非常に近いのではないかと思い参考させていただきたいと考えています。

お客様から伺うのは「紙で確認」・「紙で報告」・「紙で管理」です。更に言いますと、紙すら億劫という場面にも遭遇します。トラックの乗務員の方は、運転に集中することが重要です。なので、現場の声を伺うためにはアンケートなどを行いますが、まずは紙からという状況です。

ランドログ:その課題を解決するためにどのような取り組みを行っていますか?

日野自動車様(藤井部長):デジタル化することの嬉しさを認識してもらうことが大事だと考えています。お客様の現場の課題を解決するために、業務のデジタル化や弊社のトラックのデータが有効な手段である場合は、その活用をご提案するようにしています。弊社のデータを活用する取り組みは、自社では「HINO CONNECT」の提供、パートナー様とでは、株式会社Hacobu様のトラック動態管理サービス「MOVO Fleet」へのデータ連携という形からで取り組みを開始しております。これらの取り組みは、一足飛びに推進できるものではありません。自社だけで完結するものでもありません。なので、ランドログパートナー企業の皆様のような方々と少しずつ裾野を広げてゆきたいと考えています。

ランドログ:最後に、ランドログパートナー会員になって良かったことは何でしょうか? また、パートナー活動に関するこれからの期待などもお聞かせください。

日野自動車様(藤井部長):(良かったことの)1つ目は、他社のサービスに当社のトラックのデータを連携できた点です。ランドログ様等からオープンにデータを活用する思想や技術仕様を学び、その後ビジネスとして立ち上げることができました。

2つ目は、パートナー企業様との建設現場でのデータ連携の検証を通じて、現場で必要とされるデータの重要性が分かってきました。そこで得られた知見を、車両の高度化に繋げて、お客様の現場に貢献してゆきたいと考えています。

(今後の期待としては)ランドログパートナー企業様から当社(日野自動車)に期待する点を、もっと感じることができるようなコミュニケーションを図っていきたいと考えています。パートナー企業の皆様には、当社のような、商用車メーカーが加入していることをご認識いただき、当社に期待する点をお伺いできれば非常にありがたく感じています。また、当社は、現場で課題を抱えているお客様の期待に応えるためのソリューションを検討しています。その点で、ランドログパートナー企業様と連携して、ソリューションを持ち寄り、協業などの検討を図っていきたいと考えています。

取材後記

■COVID-19による緊急事態宣言の影響で延期していたランドログパートナーインタビューですが、私たちから提案していたにも関わらず、緊急事態宣言があけて直ぐに、日野自動車様からインタビューについてのご連絡をいただきました。

■数カ月前のお約束を覚えていてくださり、本当に義理堅い皆様だと、ランドログパートナー事務局メンバーで感激したというエピソードがございます。

■今回のインタビューでも、お客様やパートナーとの連携に対する想いや、実際に現場で実行されているトータルサポートの話をお伺いし、会社全体でその意識が浸透されているんだなと感じました。

■ランドログパートナー事務局も、パートナー連携に対する価値創造を強く意識して、地道に活動を継続したいと強く感じることができたインタビューでした。

日野自動車株式会社

商号: 日野自動車株式会社

設立: 1942年5月1日

本社: 東京都日野市

資本金: 72,717百万円 (2021年3月31日時点 連結)

従業員数: 34,527人 (2021年3月31日時点 連結)

事業内容: トラック・バス、小型商用車・乗用車(トヨタ自動車(株)よりの受託車)、各種エンジン、補給部品等

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