【安全支援アプリ活用事例のご紹介】株式会社森組様
株式会社森組様が、安全支援アプリを通じて若手の安全知識と自信を育てた取り組みを紹介します。

"現場写真1枚"が若手の安全知識を育てる ── ポスターとコミュニケーションで変わる安全教育
安全指摘のノウハウは現場経験に依存する部分が大きく、若手が知識として自信を持てないまま声を出しづらいという状況も少なくありません。
株式会社森組様は、こうした課題に向き合う中で安全支援アプリを導入。写真1枚をAIが判定する仕組みを活用し、ポスター作成による啓蒙活動や、発注者検査でのアピールなど、独自の運用で現場に浸透させてきました。今回は、安全担当の庄田和生様、現場所長の町田正彦様、佐藤慎司様にお話を伺いました。
ISSUE|若手の"安全に対する自信のなさ"と、事後対応中心の安全管理
森組様では、導入前から次のような課題を感じていました。
若手が安全指摘の声を出しづらい
若手技術者の成長という観点で、現場経験がすごく大きいこの業界において、安全指摘についてなかなか声が出にくい。知識として安全関係に自信がないという課題がありました。(町田所長)
事故事例なども「何か起こったときに見る」タイミングでしか参照されず、施工計画を振り返って事前に検討する機会が少なかったといいます。
ツールを使わない、事後対応中心の安全管理
安全管理に特化したツールはこれまで使っておらず、事故が起きてから社内基準を積み重ねていく事後的な対応が中心でした。
ツールというものは使っていませんでした。事故があったりこういったことがあったら会社としてルール化して、社内基準というものがどんどん増えていくような、事後的な対応がメインでした。(庄田様)
また、実際に導入した現場からは「会社から紹介されて使ってみてください、という形だったが、どう活用すればいいのかわからなかった」という声もあり、使い方が手探りだったことも当初の悩みでした。
きっかけ|"AIで若年層の安全知識を早く向上させたい"という期待
森組様が導入を決めた背景には、建設業界における人材構成への危機感がありました。
特にゼネコン業界では50代の熟年層が多く中堅が少なくて、若年層の安全の知識を早く向上できるということを期待して、このAIアプリにたどり着きました。(庄田様)
もともと建設業界へのAI活用は数年前から模索していたといい、写真を撮ってAIが判定するというシンプルな仕組みに可能性を感じ、導入を決断。まずは土木·安全の部署でスタートし、安全担当がパトロールの際に積極的にアプリを使用することで、若手にも使い方を広げていきました。
現場への浸透を後押ししたのは、発注者検査での評価でした。
町田所長の現場で発注者の検査の際にアピールしていただいた結果、発注者からも非常によく評価していただいた実績が生まれた。(庄田様)
社内での実績づくりが、その後の横展開の大きな一歩になっています。
HOW|ポスター作成とコミュニケーションツールとしての活用
現在、森組様では安全支援アプリを主にポスター作成·啓莙活動の場面で活用しています。
主にポスター作成·啓蒙活動に使っています。例えば昼10時の一服の前に9時半ごろ足場上で写真を撮っておいて、一服している間に携帯でパッと作り、「こういう危ないのが出るよ」というポスターを見せる。「お前の写真がこれがお前なんだよ」ぐらいな話で出てくるんで、コミュニケーションツールとしての良さがあります。(佐藤様)
作成したポスターは、月1回の安全教育や新規入場者への教育の場でも披露し、各所に掲示。現場の実写真を使うことで、作業員が「自分事」として安全に向き合うきっかけになっているといいます。
活用は現場によってさまざまで、次のような広がりも見られます。
横展開:他現場からTeamsで使い方を聞かれることをきっかけに、社内でノウハウが共有されている
デジタルサイネージとの連携:モデル現場では、前日に撮影した写真をもとにポスターや危険ポイントを作成し、翌朝の朝礼でサイネージに表示して作業員全員に視覚的に伝える運用を計画中
利用層:主に経験10年未満の若手が中心的に活用
VOICE|"職人の食いつき"がいい、自分事としての安全意識
導入後、現場では若手の安全知識の習得スピードに変化が見られています。
経験として危険箇所の裏付けされた知識で自分が学ぶことができるので、若手がタイムリーに安全知識を習得できるようになりました。(町田所長)
若手がアプリで危険箇所の知識を学ぶことができ、安全指摘の際の裏付けとして自信を持てるようになりました。アプリを使って学んだことは、カメラを撮らなくても自分で喋れるようになるなど、知識の定着にもつながっています。(町田所長)
現場作業員への浸透という点では、「自分の写真が使われる」ことが大きな効果を生んでいます。
安全教育訓練や日常でのコミュニケーションにおいて職人の食いつきがいい。自分の現場写真が使われるので、作業員が自分事として安全に向き合うようになりました。(佐藤様)
職人(作業員)の食いつきがいいです。自分の現場写真から危険ポイントが出てくるので、作業員が自分事として捉えてコミュニケーションが生まれます。(佐藤様)
定量的な効果は測りにくいものの、日々の業務負荷の軽減も実感されています。
ポスター作成に関しては非常に効果を感じています。以前は若手が自作するか安全屋さんから購入していたものが、アプリで素早く作れるようになりました。(佐藤様)
ベテラン層からの評価も良好で、発注者からの反応も後押しとなっています。
ベテランからの悪い評価はないです。発注者にも紹介した際、若い職員のところで非常に興味を持っていただきました。(町田所長)
おわりに
森組様の事例は、AIを"教育の裏付け"として活用することで、経験に依存しがちだった安全指摘に自信と根拠を持たせ、若手の成長を後押しする取り組みです。ポスターという形で現場に還元することで、コミュニケーションツールとしての価値も生まれています。
熟年層と若手のギャップという建設業界共通の課題に、写真1枚から向き合う。森組様の取り組みは、これから安全管理のデジタル化を検討する企業にとっても、多くのヒントを与えてくれます。


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